野手で圧倒的な存在感を示しているのが甲斐拓也(巨人)だ。長年プレーしてきたソフトバンクを離れ、注目度の高い巨人に移籍することで不安の声も少なくなかったが、ここまで全試合にスタメン出場し、扇の要として十分な活躍を見せている。特に目立つのが投手とのコミュニケーションだ。先発投手だけでなく、リリーフ投手に対しても一人ひとりと話し込む姿がよく見られている。スローイングについては若い頃に比べると少しボールの勢いと精度が落ちたように見えるが、それでもまだまだ力はある。さらに打撃に関しても3割を超える打率をマークするなど開幕から好調をキープしており、攻撃面でも期待以上の活躍を見せている。セ・リーグ連覇を狙うチームのキーマンとなることは間違いないだろう。
野手でもう1人貴重な戦力となっているのが、楽天からヤクルトに移籍した茂木栄五郎だ。ここ数年は怪我の影響もあって出場試合数が減っていたが、今年は主砲の村上宗隆がコンディション不良で出遅れていることもあって、開幕からサードのレギュラーに定着。ここまで15試合に出場して打率.286、1本塁打、6打点という成績を残している。村上が復帰した17日の阪神戦でもサードは茂木が守っており、村上はライトで起用されたのを見ても、首脳陣の信頼が厚いことがよく分かるだろう。結局村上はこの日の試合で故障が再発してわずか1試合の出場で登録抹消されており、そういう意味でも茂木の存在感は日に日に増している印象を受ける。ヤクルトはこれまでも多くの移籍した選手が活躍しているだけに、茂木もそれに続く存在となりそうだ。
ここまで挙げた4人はいずれもFAで移籍した選手だが、現役ドラフト組では吉田賢吾(日本ハム)が既に2本塁打を放ち持ち味の打力を発揮している。またオフに自由契約となって移籍した選手では石川達也(巨人)もプロ初勝利をマークして話題となった。シーズンはまだ始まったばかりなだけに、この後も新天地で輝きを見せる選手が続々と出てくることを期待したい。
(文・西尾典文)