
歌手が「顔出し」をしないことについて
現在、顔出しせずに活動している人気歌手がいることをどう思うか聞いてみると、こう話した。
「やっぱり純粋に音楽が認められているような気もしていて、好きですね。顔があろうとなかろうと、本来は音楽としてそれだけで認めてほしいという気持ちがあります」
子どものころからクラシックピアノを習い、将来の夢はピアニストだった岡本さん。「音大に行って学校の先生になる」という将来も描いていた。しかし、高校生のときにDREAMS COME TRUE(ドリームズ・カム・トゥルー)の曲をラジオで聴き、人生をガラリと方向転換する。
「それまで歌を歌ったことなんてなかったのに、『東京に行って歌手になりたい』と思うようになりました。どちらかというとしゃべる声も小さくてコンプレックスがあって、『歌なんてとんでもない』というタイプだったのに、ドリカムを知ってからカラオケにも行き始めて、歌の楽しさを知りました」
高知県の祖父母のもとで育てられた岡本さんは、知人のつてでデモテープをいくつかの事務所に送り、声をかけてくれた事務所を頼りに上京。祖父母は反対したが、それを押し切って東京に出た。上京したばかりのころは「どんな先生に曲を書いてもらえるのだろう」と期待していたが、事務所スタッフからの「曲を作ってみたら?」という一言に触発され、作曲に挑戦した。
「作曲にトライしてみると、一応曲として成り立っていたらしく……。『だったらもう自分で全部やろう』という流れで、シンガー・ソングライターとしてやっていく形になりました。事務所からは『デビューまでに100曲作りなさい』と言われ、結局40曲ぐらいしかできなかったんですけど、そのうちの5曲がデビューの候補になりました。当時はカセットテープにスタッフが曲を入れて、皆さんがタイアップを取るために頑張ってくれました」