
開幕3連勝を飾ったものの、その後は2度の同一カード3連敗などもあり、なかなか波に乗ることができない巨人。エースの戸郷翔征、長年チームを支え続けてきた坂本勇人がともに不調で登録抹消となるなど、期待通りの活躍を見せられない選手も多い。そしてそんなチームにあって、大きな岐路に立たされている印象が強いのが捕手の小林誠司だ。
プロ入り1年目から一軍に定着すると3年目にはレギュラーへと成長。2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では正捕手としても活躍した。しかし大城卓三や岸田行倫の台頭もあって2020年以降は出場機会が減少。昨年は菅野智之(現オリオールズ)が登板する際は先発起用されていたが、オフには菅野がメジャーに移籍し、さらにソフトバンクから甲斐拓也がフリー・エージェント(FA)で加入したこともあって今年は二軍暮らしが続いている。
小林に関してはこれまでもトレード候補として名前が挙がることが多く、今シーズンもその噂は相変わらず出続けている。しかし、なかなかまとまらないまま年数が経ち、打撃成績だけでなく守備成績も芳しくないこともあり、トレード要員としての“市場価値”は下がっていることは確かだ。甲斐を獲得した時には人的補償のプロテクトリストから漏れていた可能性は高いが、それでもソフトバンクが指名しなかったという点も、そのことをよく表していると言えるだろう。
ただ、だからといって小林の生きる道がないかと言えば決してそんなことはない。キャッチャーは特に経験がモノを言うポジションなだけに、どこかで必要とされる場面が来る可能性もあるはずだ。
生き残る方法の一つ目として考えられるのが、昨年の菅野のように特定の投手とバッテリーを組んで出場することである。二軍戦でも出場の機会は少ないものの、これまでの起用法を見ると田中将大、グリフィン、森田駿哉が先発登板した時にスタメンマスクをかぶっている。3人とも球威で押すタイプではなく、あらゆるボールを駆使して打ち取るスタイルの投手なだけに、捕手のリードが重要になってくることは間違いない。彼らの信頼を勝ち取り、一軍で登板する際にもセットで昇格するというのも十分に考えられるだろう。