――「Ice Brave」は、過去の演目が中心になるそうですね。会見でも「お楽しみで」とのことでしたので具体的な曲名はお聞きしませんが、今まで競技プログラムを担当された振付師さんについてお聞きします。まず、小さい時から師事していた樋口美穂子先生の振付については、どんな印象を持っていますか
一番、僕のできる動きを入れてくれる先生だと思っています。小さい頃から樋口先生に習っていて、僕は表現の基礎を学ばずにずっとスケートしかやっていなかったので、樋口先生が求める表現が基準にあったと思います。一番、自分らしいプログラムを作ってくれる先生ですね。
すごく長い期間一緒に練習していて、いろいろな話もしましたし「この人のために頑張りたいな」と思う先生でした。特に昔は世界的に有名な振付師に振り付けてもらわないと点数が出ない傾向があって、「そういう人に作ってもらったほうがいいよ」と言われることもあったんです。でも樋口先生の振付も絶対に負けていないと思っていたので、「この方が作ってくれるプログラムで、世界と戦える存在になりたい」と考えていました。
――シェイ=リーン・ボーンさんが振り付けた『Great Spirit』(2019-20、20-21シーズン・ショート)は、ファンにも新しいプログラムとして受け止められました
ボーンさんに初めて振付してもらったのは『Great Spirit』で、僕はそれまでアップテンポの力強い音楽でやったことがなかったんですね。だから当初はすごく恥ずかしかったですし、「皆さんにお披露目して大丈夫かな」という気持ちでした。でも今の自分は、一番得意な演目の系統は多分そちらだと思っています。それに気づかせてくれたボーンさんの振付は、すごく好きです。
――アップテンポの曲『Great Spirit』は、ボーンさんから提案されたのでしょうか
そうです。「マジか」と思いながらやっていましたけど、何が得意なのか、本人にも分からないこともあるんだなって。小さい子にも「いろいろな経験をした方がいいよ」と言いますが、まさにその通りですよね。「知らないところに、すごく自分と合う何かがあるかもしれない」と思いました。