――大変なシーズンに滑った『Dancing On My Own』(2019-20、20-21シーズン・フリー)を手がけた、デヴィッド・ウィルソンさんの振付はいかがでしたか
「滑る人が一緒でも振付師の方が違うだけで、これだけイメージが変わるんだな」と思いました。デヴィッドさんには三回振付をお願いしたのですが(2016-17、17-18、19-20シーズン・エキシビションナンバー(EX)『This Town』、2018-19シーズン・EX『Time After Time』、『Dancing On My Own』)、すごく感慨深いプログラムを作ってくださる。僕もジュニアからシニアに上がってだんだんと年齢を重ねていく上で、どこかのタイミングで大人っぽさも出せるようにならなければいけない時でもあったので、すごくいい経験になりました。
――(元コーチの)ステファン・ランビエールさんは今回ゲストスケーターとして参加されますが、振付師としてはどんな印象ですか
ステファンが作るプログラムは、ステファン本人がやれば素晴らしいんですけど、どうしても最後まで自分の技術が追いつかなかったというのが、僕の正直な感想でもあります。マイケル・ジャクソンの演目(2021-22シーズン・EX)を作ってもらったことがあるんですけど、滑り終えた時に「So funny program」って言われました(笑)。爆笑しているんですよ。
――厳しいですね……
優しいけど、ああ見えてちゃんと厳しい。しっかり駄目なものは駄目、いいものはいいって言います。ジャンプに関してはすごく認めてくださっていますけど、表現者としては一度もほめられたことないです。「もっとやれるよね」と僕も思っているし、ステファンも多分思っていたんですよね。「ジャンプがあるから、ここは諦めなきゃいけない部分なのかな」みたいな気持ちが、二人ともあったと思う。宇野昌磨の競技人生に求める理想像については、ステファンと僕はかなり近いと思います。