2023年度現在は約686万人でピーク時の約1220万人(1995年度)と比べて4割強減少。分母が減ってきているため、今すぐに年金3号の制度を廃止する理由は見当たらないという。
また、厚生労働省のデータ(※)からは、生活の厳しさも浮かび上がる。3号被保険者は、「約9割が子どもあり。5割以上が就業。年収100万円前後に分布が集中」だ。
「このデータは、少しでも世帯収入を増やそうとパートで働く女性が多いことを裏付けています。家計がぎりぎりといった家庭では、追加負担によって生活が成り立たなくなる恐れがあります。将来もらえるお金よりも、今使えるお金があるほうが大事なのです」(同)
新たな支援策を
冒頭の女性も年間約20万円の負担が今増えるのは、「正直痛い」と語る。荻原さんが続ける。
「子育て支援策が充実してきたこともあり、育児休業を取得しながら正社員で働き続ける女性も増えています。しかし、すべてではありません。中には育児休業を取得しにくい環境の女性もいます。2人目の出産をきっかけに会社を辞めて子育てに専念する人もいます。お子さんの病気や親の介護があり、働きたくても働けない人もいます。サラリーマンの妻といえども、さまざまな立場の人がいます。そういう状態で年金3号を廃止したらその人たちはどうなるのでしょうか」
また、精神疾患などが原因で会社を辞めて専業主夫になる夫もいる。廃止するのであれば、フルタイムで働くことができない妻(または夫)に対して、保険料の負担を減免する仕組みや補助金、新たな支援策を整備すべきという。
年金保険料の負担を新たに課したことで、結局未納となり、将来的に低年金や無年金になることだけは避けたい。誰もが加入しやすい制度作りのほうが必要だと言える。
(※)2023年9月厚生労働省社会保障審議会年金部会「第3号被保険者制度について」
(ライター・村田くみ)