
「ニュースで制度の話は聞きますが、わからないことばかりです。この先どうなるか不安で仕方がないです」
そうつぶやくのは四国地方で働く女性(30代)。介護職で働く夫(30代)と2人の娘の4人暮らしで、長女は保育園に通い、次女はようやく一人で歩けるようになったばかり。実家の両親のサポートを得ながら、自宅近くのクリニックで医療事務の仕事をパートタイムでしている。
「今は夫の扶養の範囲内で働いています。いろいろと制度が変わることは知っていますが、これ以上、金銭的な負担が増えると家計が大変なので、週20時間以上は働かないように調整するかもしれません」(女性)
2026年10月にも撤廃する方向で議論が進められている「106万円の壁」の見直しは、妻がパートなどで働く際、週20時間以上働く人はすべて「第3号被保険者」から「第2号被保険者」にするように制度を変更して、将来受け取る年金額を増やそうというもの。年収106万円で社会保険料の負担は年間約15万円にもなるので、女性のように戸惑う人も多い。
「子どもが大きくなったらフルタイムで働きたいという気持ちはもちろんありますが、娘たちは体が弱いので長時間、留守にするのは難しいです。私が住む地方都市には、再就職できるような職場もそう簡単に見つかりません」(同)
1985年4月に成立
そんななか、さらに女性を悩ます問題が持ち上がっている。国は年金制度改革の中で、一人でも多くの主婦に保険料を納めさせようと改正の準備を進めている。「106万円の壁」の撤廃もその一つだが、より重要なのが「年金3号制度」の廃止だ。
年金3号(第3号被保険者制度)とは、会社員もしくは公務員として厚生年金に加入している人の配偶者で、年収130万円未満、20歳以上60歳未満であるといった条件を満たすと、国民年金の保険料を納めなくても老齢基礎年金を受け取る資格が得られるという制度。1985年4月に成立した。
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