共感力あるリーダーに

 社会も大きく変化しています。労働人口の不足が加速的に進み、女性も働かなければ日本の経済は立ち行かない時代です。女性に期待される役割も変わっています。

 こうした流れを受け、大学側としてもアクティブラーニングをふんだんに取り入れたカリキュラムを導入しました。教室での授業だけではなく、広く社会の人たちと関わる体験も重視しています。

 社会に出たら、学力や知識量よりもむしろ、人との協力やあきらめない力などが重視されます。学生時代に社会とつながる体験を積み上げて自己肯定感を高めることが重要だと考えています。

──世界的にみてジェンダー格差が大きい日本で、女性の可能性を多方面に伸ばすために、いま必要なことはどんなことでしょうか。

 女性が社会で必要とされる能力をしっかり身につけることです。

 たとえば、グローバル化。いま、日本の総人口に占める外国人の割合は増える一方です。外国人の関わる分野や外資系企業は人材不足です。つまりチャンスがあります。競争相手が少ないですし、実際に外資系で活躍する女性は増えています。

 また、従来の男性的価値観では、出世や権力が能力の証しだと考えられがちだったと思います。強いリーダーが旗を振り、皆を引っ張っていくのが普通でした。

 でもこれから求められるのは、多様性を尊重し、相手に共感しながら物事を前に進める“インクルーシブリーダーシップ”です。メンバーの特性を生かしながら活躍する人材を育成する。これこそ女性が得意とする分野だと思います。

女性の特性に自信を

 たとえば、環境問題や福祉分野、ボランティアへの関心は男性より女性のほうが高い傾向にあります。一般的に男性と比べて女性のほうが相手の気持ちに立って考えられる、つまり共感する力が高いことの表れだと思います。いい意味での女性らしさと言っていいのではないでしょうか。

 男性でも共感する力が高い人はいますが、女性は女性のよき特性に自信を持ち、それを育てることが大事です。

 これからはそうした資質がさらに重視されていきますから、学生のうちに“インクルーシブリーダーシップ”をとる経験をすることは大切です。どんなことも自分たちで責任を持ってやり切る経験をたくさん積むことが必要だと思います。

(構成/ライター・浴野朝香)

AERA 2025年4月14日号より抜粋

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