「若い頃のほうがかっこつけていて『分かりません』が言えないタイプだったが、50歳を過ぎたら、そんなことは別に恥ずかしくないと思い始めた、と昨年インタビューで明かしていたのも印象的。自身の好きな人はどこかおっちょこちょいだったりして、そういう人こそ魅力的で楽しくてまた会いたいと思い、『あれ、完璧な人なんていない。何で私はちゃんとしてないといけないって今まで思っていたんだろう』と感じるそうです。そうした、精神的な安定や余裕のある姿勢が魅力となり、人を惹きつけるのでしょう」(前出のテレビ情報誌の編集者)
一方で、知性豊かな一面も好感している要因のひとつかもしれない。
「現在、書評番組『あの本、読みました?』のMCを担当するなど、鈴木さんは読書家としても知られています。昨年6月のインタビューでは、読書について、本はお風呂や寝る前、移動の時間などで読むが、課題図書は常に積み上がっていると告白していました。書店に行くと『これも読みたい』と買ってしまい、自宅が凄いことになっているそうです。さらに、2023年に更新された自身のインスタグラムでは『大学入学共通テスト2023』の英語リーディングに挑戦したことを報告していました。『恒例の、脳みそチェック。87/100。思考力と根気が衰えている。反省』と綴っていましたが、大手予備校の河合塾が発表した東京大学文科一類のボーダー得点率は86%で、87点はそれを上回る好成績。鈴木さんの場合、そんな知的さがあるからこそ、エリートやセレブな女性を演じるとより存在感が増すのでしょう」(前出の週刊誌記者)
エンターテイメントジャーナリストの中村裕一氏は鈴木保奈美の魅力につてこのように分析する。
「ドラマ界では“レジェンド級”の存在ですが、織田裕二や唐沢寿明といった、かつて共演した俳優と再び共演することが話題になるのも、華やかなスター性を感じさせます。個人的には髪をショートにし、革ジャンにジーンズ、くわえタバコという、それまでのお嬢様的キャラからの脱皮に大胆にチャレンジした1994年の『この世の果て』が一番好きな作品です。離婚後の精力的かつリラックスした活動からは、彼女本来のナチュラルでフラットな性格がうかがえ、それが新たなファンの獲得にもつながっているのでしょう。若い頃よりも柔軟性や幅を感じさせる今の演技も素敵ですが、狂気を帯びた犯罪者や冷酷非情な役など、さらにイメージを打ち破る怪演を見たいところ。代表作の一つでもある『白鳥麗子でございます!』のような、浮世離れしながらもどこか憎めない個性あふれるキャラクターを振り切って演じる姿も見てみたいですね」
トレンディドラマで一世を風靡した頃とは違った魅力を放つ鈴木。演技だけでなく、その生き方も合わせて、新たなファンも増えそうだ。(丸山ひろし)