医師や看護師が患者の自宅に訪問診療する「在宅医療」の現場では、家族から暴言を吐かれたり、患者からセクハラを受けたりする事例が後を絶たない(撮影/写真映像部・和仁貢介)
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 医療機関でも、患者やその家族による暴言や理不尽な要求などを受ける「ペイシェントハラスメント(ペイハラ)」が問題視されている。患者がグーグルマップに病院への批判的な口コミを投稿するケースも目立つ。AERA 2025年4月7日号より。【前編はこちら】深刻化する“医療カスハラ” 「帰れ」「役立たず」と罵声、命の危険を感じる場合も 在宅医療現場の過酷な実態

【図を見る】ペイハラの実態はこちら

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 日本医師会は1月末、「ペイシェントハラスメント・ネット上の悪質な書込み相談窓口」を設置した。会員の医師から「インターネット上での悪質な書き込み被害が増加し、対応に苦慮している」との声が寄せられたためだ。医師会によると、2月末までに寄せられた計40件の相談のうち、9割近い35件がネット上の悪質な書き込みに関するもの。担当者は「ほとんどがグーグルマップの口コミの記載に関する相談です」と明かした。

 実態はどうなのか。グーグルマップで「病院」を検索すると、0~5の数字で評価された近隣の医療機関のリストが表示される。総合評価の低い病院には容赦ない匿名コメントが並んでいた。

「この病院は本当におすすめしません」「患者への対応が最悪」「素人から見ても医療に対する医師の知識が乏しい」と一刀両断のコメントもあれば、具体的なシーンを説明した上での批判もある。

患者と医師の力関係に変化、振り子を真ん中にしたい

「医師がろくに私から症状について話を聞かず、患部をよく見ずに診断していた。いまだに症状が改善しない」「受付の人は横柄な態度でした。私より後に来た人が先に会計で呼ばれ、私は20分以上も待たされてやっと呼ばれました」

 筆者が何度か通った病院を見ると、「1.0」と低評価だったので驚いた。特に対応が悪い印象はなかったからだ。中には「評価が低かったので心配しましたが、スタッフの皆さんもやさしく、先生も私の症状を真摯に聞いてくださいました」といった好意的なコメントも交じるが、総合評価の点数を事前に把握していたら受診を躊躇していたかもしれない。

「匿名でネット上に書き込みをする人が病院の改善を心から望んでいるかというと、必ずしもそうではないように感じています。単なる腹いせのケースや、ほかの閲覧者に自分の意見に共感してもらうことが第一の目的ではないか、と考えています」

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