親自身が高学歴なほど「自分はできたのにどうして」と比較しがち。専門家は「まっさらな気持ちでサポートを」(撮影/写真映像部・馬場岳人)
親自身が高学歴なほど「自分はできたのにどうして」と比較しがち。専門家は「まっさらな気持ちでサポートを」(撮影/写真映像部・馬場岳人)
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 中学受験者数の高まりから、子どもの勉強のことで悩む親が増えている。教育に関する情報があふれるなか、親はどのような判断軸を持てばいいのか。識者に聞いた。AERA 2023年4月24日号の記事を紹介する。

【図】子どもが自ら学ぶために親が心がけたい六つのポイントはこちら

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「保育園で息子と仲が良かった友達が小学1年生から入塾したと聞いて、驚きました」

 そう語るのは、都内に夫と小学校1年生の息子と暮らす大手メーカーに勤務する女性(41)だ。自然体験を重視した保育園で仲良く育った息子たち。しかし、小学校に入学して周囲の保護者の様子がガラリと変わったと語る。

「地域の公立中学校では内申点が取りにくいから、丁寧にノートを取ったり、授業中挙手したりするタイプでないと高校入試で大変な思いをすると聞きました。ブログで中学入試の体験記などを読むと、低学年から塾に入れているケースも多くて……。小学校に入学したら、すぐに『勉強モード』にしなければ手遅れになるのでは、と焦っています」

 女性が育った別の地域では、そもそも中学受験をするという選択肢はなかった。公立中学校へ行き、高校も悩むことなく地域唯一の公立進学校に進学。

「首都圏では親が早めに決断しなければ、子どもの機会を奪い、かわいそうな目に遭わせてしまうのでは」と悩んでいるという。

AERA 2023年4月23日号より
AERA 2023年4月23日号より

■結果よりも過程を見て

 クラスの半数以上が中学受験をするという神奈川県内の小学校に勤務する40代の女性教諭も、保護者からよく相談を受けるという。

「低学年の段階で『塾に入れた方がいいですか?』という相談をよく受けます。情報があふれすぎて、何が自分の子に合っているのかがわからず、『○○ができるようになる』『100点がとれる』といったわかりやすく目に見える学習評価の部分にばかり目がいっているように感じます。しかし、現在はどの学校段階においても知識だけでなく思考力・判断力・表現力なども問うようになってきています。これらの力はすぐに付くものではありません。私たちが子どもの頃は、知識が重視されていたこともあり、どうしてもそちらに意識が向きがちなのでしょう」

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