カブス戦のマウンドで雄たけびをあげるドジャース・山本由伸(日刊スポーツ)
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 ドジャースとカブスが東京ドームで対戦したメジャーリーグ開幕戦。球場で観戦できた野球ファンは、NPBの試合とは違った雰囲気を堪能できたのではないか。NPBでは応援団がトランペットや太鼓など「鳴り物」を演奏し、観客はメガホンや応援バットを打ち鳴らし、声を張り上げる応援スタイルが主流。だが、メジャーの試合は静寂の中でファンが固唾をのんで戦況を見つめるスタイルだ。ドジャースとカブスの開幕戦も、鳴り物や声援がない「メジャー式」だったのだ。

【写真】試合中、常に声を出していたのはこの人

 鳴り物がないため、選手の息遣いやバットの打球音が東京ドームに鳴り響く。3月18日の開幕戦に登板した山本由伸(ドジャース)はピンチの場面で「ウラァ!」と雄叫びを上げ、5回1失点で乗り切ったときには、「よっしゃ!!」とマウンド上で叫ぶ声がはっきりと聞き取れた。

開幕2戦目に先発登板した佐々木朗希(ドジャース)も気合十分だった。押し出し四球を与えるなど3回まで5四球と制球に苦しんだが、メジャーデビュー戦で力が入った部分があっただろう。走者を背負った場面で投じるときには、「ウッ!」と声が出ていた。

米メディアが驚いた阪神の応援

 この開幕戦に先立って行われたプレシーズンゲームでは、巨人阪神の攻撃時に鳴り物応援が響いた。米国メディアの中で話題になったのは、阪神の応援だという。

「応援するファンの声量が凄いし、集団になって各選手に向けて大声で歌っている。エンターテインメントのショーを見ているみたいでしたね。序盤は試合より応援のほうが気になりました。アメリカのファンは野球そのものを楽しむけど、日本では応援を含めて球場の雰囲気を楽しんでいるように感じました」(米国の民放テレビ局関係者)

 日本だけでなく韓国、台湾などもトランペットや音楽を大音量で流し、選手に大声で声援を送る応援が一般的。これがアジアの応援スタイルなのかもしれない。

 一方で、日本でもメジャーのように「無音試合」の導入を希望する声もある。ドジャースとカブス戦の試合を東京ドームのバックネット裏で観戦した50代の男性は「応援歌が流れるスタイルに慣れていたので、静寂の中で試合を観戦するのが新鮮でした。新たな発見があって面白かったです。大谷が本塁打を打った時は『ガシャーン!』と凄い音が響きました。あんな打球音は聞いたことがない」と興奮気味に話した。

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毎球のように投球時に声を出している投手は