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 2月下旬、警視庁は楽天モバイルの通信回線を不正に契約したとして中高生3人の逮捕を公表した。専門家は、楽天モバイル社の「セキュリティーの低さ」を突いた犯行と指摘する。業界では、同社の不正契約対策は以前から問題視されてきたという。

【被害者は怒り】被害の「実態」と「楽天モバイル」の回答。対応に「誠意なし」と被害者

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楽天モバイル狙いに「やっぱり」


 最近、回線不正契約による被害に遭った楽天モバイルのユーザーのトモコさん(東京在住)は、中高生による事件を知ったとき、「やっぱり」と思った。

「こういう犯罪の標的になるということ自体、楽天モバイル社のシステムが脆弱なのだと思います」(トモコさん)

 読売新聞などによると、逮捕された中高生3人は昨年5月から8月にかけて、秘匿性の高い通信アプリ上で購入した11人分の楽天モバイルのID、パスワードを用いて、不正にログインし、105件の回線契約をした疑いがある。指示役の中学生は「各社の契約条件などを調べ、本人確認の甘い楽天モバイルを狙った」と、捜査員に話しているという。

問い合わせに4時間、「お客様の落ち度です」

 トモコさんが通信回線の不正契約に気づいたのは今年1月中旬だった。携帯電話代の請求金額を知らせるメールを開くと、画面に目がくぎづけになった。普段の20倍ちかい金額が表示された。

「『何か変な操作をしたのかな』と思った」(トモコさん)

 インターネット上の会員サポートサービス「my 楽天モバイル」を確認すると、2カ月にわたって高額請求をされていた。内訳と契約回線を見て、さらに驚いた。

「身に覚えのない電話番号がずらりと表示された。『不正請求だな』と、直感しました」(同)

 楽天モバイルの問い合わせ窓口に相談しようとしたが、チャットも電話もなかなかつながらない。相談までにそれぞれ1~2時間、計4時間近くを費やした。

 ようやくオペレーターにつながると、「my 楽天モバイル」のIDやパスワードを変更し、楽天モバイルの決済で使用しているクレジットカード会社にも調査を依頼するよう告げられた。また、楽モ社側は不正請求か否かを判断することができないという。「同社も被害者である」と告げられ、遠回しに、「楽天IDとパスワードの管理が甘いのが原因。お客様の落ち度です」という趣旨のことを言われ、ショックを受けた。

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不正契約への対応は1回のみ