ⓒ氷艶hyoen2025

――この公演は「ロックオペラ」ということですね。フィギュアスケートでロック音楽を使う選手は少ない中、高橋さんがシングルスケーターとして最後のシーズンに滑ったショートプログラム「The Phoenix」は印象的でした。ロックという音楽でスケートをすることについて、何かこだわりはありますか

 ロックって、根本的にすごく激しいじゃないですか。だから多分、体力的に厳しい部分があると思います。難しいとは思いますが、ロックのスピード感や音の伸び方は、スケートにはすごくマッチすると思うんですよね。フィギュアスケートの「美しく滑る」というイメージに対して、ロックの「激しい」という安易なイメージがマッチしないだけであって。本当は、ロックも美しいんですけどね。実際僕自身ロックが好きで、自分でも聞きますし、滑るのもすごく気持ちいいんですよ。

 今公演は「ロックオペラ」ということで、「より壮大なロックなんだろうな」と勝手にイメージしています。だからもう「“合う”しかなくない?」という思いしかなくて。この物語と音楽のマリアージュである今公演では、本当にエネルギッシュで壮大なものが出来上がるんだろうなと。

――今公演では岡山の昔話「桃太郎」の基となった「温羅伝説」を演じられますけれども、倉敷市を舞台にした映画「蔵のある街」(今夏公開)にも出演されました。故郷にまつわる表現活動が続いていることに関しては、どのように感じていますか

 たまたまですけど、ゆかりのある土地にまつわるものをやることが出来ていますね。初めての映像作品として地元を舞台にした映画に参加させてもらって、こういうタイミングも「本当に自分は運がいいんだな」と思っています。

 自分の故郷を舞台にした物語が出来るってすごく嬉しいですし、「桃太郎」って聞くと僕自身誇らしくもなりますし。今回、僕は桃太郎役ではなく、鬼である温羅役としてですが。でも物語の描く方向性を変えれば、実は温羅が桃太郎だったかもしれないですし。そういう物語を出来ることが、すごく嬉しいと思います。

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