ロッテの種市篤暉

「種市はメジャーで十分通用する」

 バックネット裏から驚きの声が上がった投手が、2戦目に先発登板した種市篤暉(ロッテ)だ。2回2奪三振無失点という結果以上に、投球内容が圧巻だった。23球の大半で直球を投げ込み、154キロ以上を常時計測。打者が直球と分かっていても、バットが空を切っていた。昨年の直球の平均球速は149キロだったので、球速が一気に上がり、そのためフォークやスライダーの効果も絶大になっていた。

「一番インパクトを受けた投手が種市ですね。昨年は佐々木を見るためロッテ戦をチェックする機会が多かったが、種市が気になっていた。佐々木よりタフだし、シーズンを通じて先発ローテーションで回れる。20年にトミー・ジョン手術を受けて以降、直球の球速がシーズンを重ねて徐々に上がっていたが、オランダ戦の投球は一気に出力が上がった感じがします。オフに取り組んだトレーニングが実を結んだ部分があるんじゃないですかね。このパフォーマンスを続ければ、投手タイトルを狙える。メジャーでも十分に通用しますよ」(メジャー球団の編成担当)

「細川はなぜ、6番打者なのか」

 一方、野手の評価はどうだったろうか。代表デビュー戦となった1戦目に先頭打者を放った水谷瞬(日本ハム)、2試合連続で4番に起用され、外野守備での強肩が魅力の万波中正(日本ハム)も楽しみな選手だが、メジャー関係者からは名前が挙がってこない。

「メジャーの各球団は長打力を重視しています。今回は出場していない村上宗隆ヤクルト)、岡本和真巨人)以外で今すぐにメジャー契約を結べる野手がいるかというと厳しい。ただ、楽しみな選手はいますよ。佐藤輝明(阪神)はスケールが大きくて魅力的な打者です。落ちる球への対応力を磨けばさらに評価が上がる。あとは守備ですね。三塁より外野のほうがいいと思います。細川成也(中日)も順調にステップアップしている。確実性が上がっていますし、打率3割、30本塁打を十分に狙えます。2月のオープン戦で中日の6番で起用されていましたが、なぜでしょう。もったいないですよ」(前出のメジャーリーガーの代理人)

 侍ジャパンにとって本番は来年3月のWBCだ。豪華絢爛な投手陣だけでなく、成長株の野手陣も今シーズンを通じてさらに成長し、日本の連覇に向けて活躍することを期待したい。

(今川秀悟)

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