
Aさんは兵庫県内の経営者か
ちなみに、岸口氏は、立花氏に文書を渡した会合には、よく知る人物と同席したと説明したが、その人物の名前は「民間人」だとして説明していない。立花氏も「Aさん」としか明かしていないため、「Aさんは誰」という言葉が一時はSNSでトレンドにあがるほどだった。
先の自民党県議B氏によると、
「ある元県議が最初は口利きをして、Aさん周辺につなぎ、立花氏に問題の文書を渡したという噂が県議会で広がっている」
という。
そこで、この元県議に電話したところ、こう話した。
「岸口氏のことは昔から知っているが、そんな事実はまったくありません。問題になってる『Aさん』というのは、現場に立ち会った人物と、ウラで絵を描いた人と複数いると思いますよ。私の知る『Aさん』は県内で会社を手広く経営する岸口氏の支援者と聞いている」
元県議がいう「Aさん」の携帯電話を何度か鳴らすが、応答がない。会社に電話をしても、
「今日は不在です」
というばかりだった。
「斎藤氏の下ではやっていけない」
一方、県職員には、百条委員会の調査報告書の効力について懐疑的な声がある。報告書を読んだという現役の職員はこう話す。
「内部告発があってから、それまで傲慢な態度だった知事は一変して、やたら丁寧になりました。急に態度を変えたので反対に、『何を考えているかわからない』と話す幹部もいます。知事は百条委員会でパワハラ認定をされ、ここまで大騒ぎになったんですから、普通なら自ら身を引くでしょう。けど、知事に自ら辞める様子はゼロです。知事の性格からいって、百条委員会の報告もこたえていないでしょう。
県職員として県民のために一生懸命、仕事をしたいですが、斎藤知事の下ではやっていけない。目を付けられないよう、目立たないように淡々と過ごすのみです。私もそろそろ幹部織につく年齢ですが、正直、幹部職にはなりたくない。同僚もそう言っています」
兵庫県政はまだまだ落ち着きそうもない。
(AERA dot.編集部・今西憲之)

