
金(ゴールド)の投資信託が売れている。リターンを調べて納得、S&P500に勝った年が直近で3回も。金投資本来の意味とともに学ぶ。AERA2025年3月10日号より。
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新NISAでは米国株の投資信託が人気。先進国株式や国内株式、新興国株式、各国の債券などの指数別で年間リターンを比べると、米国S&P500は2019年が年間30.2%増、21年が同43.5%増、23年が同35.8%増でトップだった。1年で3割も4割も上げていたら人気化するのも納得である。
S&P500が19年、21年、23年にトップと書いた。では20年、22年、24年は何が一番だったか。「金(ゴールド)」である。金のリターンは20年が年間18.5%増、22年が同14.4%増、24年は同39.9%増。これは円建てリターンだが、ドル建てでも20年、22年、24年は金がS&P500に勝った。
円安効果でうなぎ登り
金投資で手軽なのは投資信託。新NISAでも買えるが、売れ行きはどうか。SBI証券デジタル営業部長兼デジタル企画部長の磯谷俊介さんに聞いた。
※本記事のコメントは磯谷さんの所属部署以外にSBI証券投資情報部の鈴木英之さん、川上雅人さんへの取材を元にした情報も入っています
「当社で人気の、金に連動する投資信託(『三菱UFJ 純金ファンド』、『SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド』の為替ヘッジありとなし)の買い付け額を調べると、23年12月が30億円、24年12月が81億円で2.7倍に増えていました」
円建ての金、ドル建ての金、為替の比較チャートを作った=下のグラフ 。1999年10月を「1」として指数化したが、金は右肩上がりだ。ここ数年は円安も追い風となり、円建ての金が頭一つ抜けている。
金は安全資産といわれるが、金価格自体は上下するし、為替リスクも。何が安全なのか。
「株式、債券には程度の差こそあれデフォルト(債務不履行)リスクがあります。株は企業が倒産したらゼロになる。債券は国や企業、自治体などの債務です。実は円やドルなどの通貨も国の借金という見方ができます。株、債券、通貨が市場で成立する背景には『信用』が不可欠です。しかし金は誰の債務でもなく『モノ』ですからデフォルトリスクがありません」
