
国会では2025年度当初予算案をめぐり、自民、公明と日本維新の会が合意した。維新とすれば、念願の「教育無償化」を与党にのませたことで新執行部の手柄と思いきや、内部の評判は芳しくないようだ。何が起きているのか、政治ジャーナリストの安積明子氏に聞いた。
* * *
自民党、公明党そして日本維新の会は2月25日、高校授業料や学校給食の無償化を含む教育の無償化や現役世代の社会保障費負担の軽減、社会保険の負担に関する働き控えの原因とされる「130万円の壁」の制度的対応を検討することなどについて合意した。少数与党である自公にとって、38人の日本維新の会を取り込んだことは、2025年度予算案の衆議院通過が確実になったという意味がある。
さらに日本維新の会の合意を得たことは、所得税控除を巡る「103万円の壁」の突破を主張する国民民主党の合意を得るより「良い買い物をした」ことにもなる。というのも、国民民主党が主張するように所得税控除限度を103万円から178万円にすれば、税収減は7兆円以上になるが、日本維新の会が主張する高校授業料の無償化の費用は約5500億円で、国民医療費総額の削減額は4兆円ほどだ。
また、社会保障の削減については期限が明記されておらず、すぐさま実施する必要はない。しかも国民民主党の衆議院議員が28人なのに対して、日本維新の会の衆議院議員は10人も多い。
「教育無償化」通したのに内部からは……
日本維新の会にとっても、今回の合意の意味は小さくない。宿願の「教育無償化」を政府与党にのませたことで、国民に「政策実現の党」をアピールできる。現執行部の求心力が高まることにも期待したい。
しかし、3党合意案は臨時役員会では難なく通ったものの、正午すぎから開かれた両院議員総会は大荒れとなった。衆議院予算委員会の中央公聴会に出席しなくてはいけない議員がいたため、両院議員総会は午後3時に一時中断し、午後5時に再開された。