日本はどんなメッセージを発するのか
トランプ氏が国際刑事裁判所(ICC)職員に制裁を課した際、英仏独含む加盟国79ヶ国は反対声明を出し「ICC支持」を掲げた。しかし、ICCへの最大の分担金供出国でありICC所長を出す日本はこれに加わらなかった。また、皇室典範の女性差別性を指摘した国連の女性差別撤廃委員会に対し、日本は拠出金の使用を認めないとした。
秩序破壊を非難しないばかりか、「法の支配」を自らが損なう行為を行っていては、世界秩序の崩壊の一助を担っていると言われても仕方がない。私は女性差別撤廃委員会の指摘に同意するが、仮に日本政府が同意しなくとも、拠出金を使わせないなどという手段に出るのではなく、自らの立場を堂々と主張するべきである。
首脳会談で指摘できなくとも、日本が「普遍的価値」を守るためのメッセージを発信する方法は他にも幾らでもある。

米国が引いた資金供出の一部を日本が代わりに担うのも強いメッセージ発信となるだろう。日本の誇る中東の中立外交を武器にガザ停戦を戦争終結につなげる努力をする、あるいは、日本が脈々と続けてきたパレスチナ支援を拡大して「パレスチナ人の手によるガザ復興」を全面的に支援することもできる。
今こそ、トランプ氏の激しさに眉をひそめる各国や各国の市民社会と手を取り合って、国際協調や「普遍的価値」を尊重するメッセージを日本は強く発信する先頭に立つべきである。
最後に、「Leading by example(モデルで示す=バイデン大統領の言葉)」も極めて重要であることを指摘して終わりたい。日本自身が「民主主義・人権・法の支配」が尊重される社会を発展させていくことも、日本の国際的地位を高め、国際社会に対する強いメッセージになる。