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「人前でしゃべるな。舌を引っこ抜いてもらえ」
――日々、どのような中傷メッセージが届いていたのですか?
ライブ当日の朝、「歌が下手だから歌うな」「体形が醜いから人前に出るな」などと100件近く書き込まれたことがありました。講演会の日には、「滑舌が悪いから手術しなおせ」「人前でしゃべるな。舌を引っこ抜いてもらえ」なんて書かれる始末で。
私は病気と闘ってきて、生かされた命をみなさんの励みになるよう使えればと、発信を続けてきました。それなのに、「消えてください」とか「あなたが元気になった姿自体が舌がんで亡くなった人を傷つけている」とか、なんでこんなことを言われなければいけないんだろうと絶望しました。
身体的なダメージも大きかったです。毎日のように「デブ」と言われ続けた結果、自分は太っているんだと思い込んで、食べ物が喉を通らなくなりました。中傷の言葉は、次第に洗脳のように刷り込まれていくものです。「みなさんは本当はいい人で、私のためを思って忠告してくれているのかもしれない」と言い出した時は、診察を受けていた精神科の先生に非常に危険な状態と言われました。
――警察に被害を相談することにしたきっかけはなんですか?
身の危険を感じる投稿が目に付くようになったからです。「がんで死ななかったから自分が殺す」といった脅迫もそうですが、「お前は昨晩〇時に寝た」と私の行動を見張っているような内容や、「朝の6時までに犬の散歩に行け」と暗いうちに外に出るよう仕向ける内容がありました。警察も危険だと判断して、ここ数年は自宅周囲のパトロールを続けてくださいました。