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フジ・メディア・ホールディングス(フジ・メディアHD)の株価が注目を集めています。背景には、著名な個人投資家やアクティビスト投資家による、株主総会における株主提案が可決されるかもしれず、これに対する市場の期待が高まっていることがあります。その結果、株価は急騰し上昇中です。しかし、過去のファイナンス研究を踏まえると、この上昇が持続するかには少し疑問を感じるところもあります。株主提案の可決率と、それが企業経営に与える影響について、ファイナンス研究の視点から考察したいと思います。
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Nickolay Gantchev博士とMariassunta Giannetti博士は、アメリカの上場企業における株主提案について検証を行いました。彼らが2021年に発表した研究(注1)によると、アメリカでは株主提案の可決率は平均約20%でした。しかし、特に、提案の提出者が機関投資家か、個人投資家かによって、可決率には大きな違いがあることが判明しました。
・機関投資家の提案の可決率:相対的に高い(20%以上)
・個人投資家の提案の可決率:低い(3%以下)
この違いの要因として、以下の3つを挙げています。
- 提案の質の違い:機関投資家は専門家の意見を活用し、企業価値向上につながる提案を行いやすい。
- 他の株主の支持を得る能力の違い:機関投資家は大口株主であることが多く、影響力が強い。
- 企業経営陣の対応の違い:機関投資家の提案は経営陣が無視しづらいが、個人投資家の提案は慎重に扱われることが多い。