人を魅了するのは「容姿」だけではない

 魅力的な人は短時間で人を魅了し、信頼を獲得するものです。

「人の魅力」とは何でしょうか。最初は、容姿を想像するかもしれませんが、それだけではありません。

 ビジネスパーソンが持つべき魅力は、他人から好かれ、信頼までスムーズな、人を惹きつける力です。これについては「対人魅力」という研究分野に多くのヒントがあります。対人魅力とは、人が他人に対して本質的に感じる魅力のことです。

 対人魅力があれば、性差や損得で区別されず、人から無条件にポジティブな印象を持たれることで、その後の信頼関係を築くために大きく貢献します。

 対人魅力は社会心理学の研究分野の一部で、とくに面白いのは「進化心理学的な観点」です。これは、人間の本能によって、他人の見た目や行動からその人が持つ健康な遺伝子や安全性を感じ取り、このことが生物としての私たちに強くアピールするという考え方です。

本能は「相手の姿勢、表情、視線」で判断している

 容姿は一種の魅力になりますが、実際には容貌がいいだけでは信頼まで結びつきません。その人が健全で健康、安全であることが相手にわかる必要があるのです。それがわかるのは、その人の身体の様子がかなり重要で、身体の様子がわかるのは、姿勢や表情、視線などのあり方なのです。

 これらは、非言語コミュニケーションの研究でも、社会的なやりとりにおいて重要な役割を果たすことがわかっています。私たちの本能的な部分がそのような要素から人を読み解き、判断するのです。

 人を惹きつけるのは、健康そうに見える姿勢や豊かな表情、健全な視線です。もちろん、清潔そうな様子も人間の本能にとっては健康や安全のバロメータ。これらは印象形成に重大な影響を与える要素だと理解しておいてください。

次のページ