
警視庁の関係者は「死亡以外のケガなどの事故の発生だとその15倍ほど。毎年1500件前後は発生しています。事故が起きる時間帯は午後8時から午前4時までが多い」と話す。
関東県内で個人タクシー業を営む50代の男性は「路上で寝ている人をタクシーが轢いてしまうことがあり、毎年3、12月は都道府県のタクシー協会が警鐘を鳴らしています。もうかれこれ20年以上、毎年ですよ」と打ち明ける。
タクシーを降りたものの……
この男性は東京都を中心に25年以上、タクシーの運転手を勤めてきたベテランだが、「自動車に対して縦向きに寝られているとライトの照射面積が少なく、わかりにくい。ヒヤッとした経験を持つドライバーも多いはず。俺らは最悪のケースに備えて注意を払いつつ運転してるけど、『路上で人が寝ているかもしれないから気をつけろ』と言われても限界がある人もいるのでは」と続けた。
宮城県警の元警察官で、交通鑑識の職務に長く従事していた澁澤敬造さんは「自宅の近くの路上で寝てしまい、轢かれて亡くなるケースもあった。ポケットにあったタクシーの領収書から、自宅の近くでメーターが上がりそうになりタクシーを降りたものの、そのまま路上で寝てしまったとみられます」と語る。