伊藤裕『老化負債 臓器の寿命はこうして決まる』(朝日新書)

※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 抗加齢医学のエキスパートとして知られる、医学博士で慶應義塾大学名誉教授の伊藤裕さんは、元気で長生きするには、自分に合ったルーティンを知って、そこからブレないことが重要だという。ただ、そのためには意識的に「小さくブレる」こともコツ。伊藤さんは著書『老化負債――臓器の寿命はこうして決まる』(朝日新書)の中で、この方法を具体的に紹介している。ルーティンを続けるカギになる「リズム」について、本書から一部抜粋・再編集してお届けする。

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ブレないための「リズム」作り

 自分ならではのルーティンを守り、ブレずに同じ状態を保つことは長寿につながります。しかし、毎日全く同じことを続けることは至難の業です。

 日頃の仕事をのんべんだらりと同じペースで続けるのは楽そうに思えますが、飽きてきますし疲れてもきます。一向にはかどりません。すると、どんどんブレていってしまいます。

 それでは、どうすればブレずにいられるのでしょうか?

 たとえばどんなにきつい仕事でも「月月火水木金金」と働くのではなく、週末は恋人とデートというプランを入れておくことで、ウィークデイの仕事を頑張ることができます。

 ウィークデイとは異なったプランが入ることも含めて、ルーティンにするのです。

 ブレないことは、実は〝小さくブレながらまた元に戻る〞ということを繰り返す―規則正しいブレ、「振動」を持つことで初めて可能になります。メトロノームのような振動、一定の「リズム」を持つことが大切です。

 一定の範囲の中で繰り返す、波のように寄せては返す「波動」のリズムが望まれます。滑らかに連続的に調子が上がり、やがてピークに達すると、その後は次第に調子が下がり、そしてボトムになると、また上昇していき、元の位置に戻る、という動きです。

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