「コーヒーハウス」での議論が民主的思想を生んだ
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コーヒーハウスに欠かせないコーヒー豆は、熱帯アフリカ原産の植物です。古代から食用にされていましたが、豆を炒ってから煮出して飲む方法は、13世紀頃生まれました。コーヒーを飲む習慣は、アラビア半島のイスラーム教徒を中心に広まっていきます。
イスラーム教の大国・オスマン帝国でもコーヒーが愛されました。首都のイスタンブールに開店したカフェは、政治への不平不満を言い合う場所となりました。そして1683年、オスマン帝国はオーストリア帝国の首都ウィーンを包囲します。しかし、キリスト教諸国の連合軍がオスマン軍を破り、撤退させます。オスマン軍が残した物資の中にコーヒー豆があったため、ヨーロッパ人がコーヒーを知ったと伝えられています。
18世紀には、ヨーロッパでコーヒーが大流行。イギリスやフランスでは、人々が集まってコーヒーを楽しむ「コーヒーハウス」が生まれます。コーヒーハウスは、人々が新聞や雑誌を読んだり、意見を交換したりする場所でもありました。フランス最古のカフェである「ル・プロコープ」には、ルソーなどの啓蒙思想家が集まったといいます。
啓蒙思想家は、国王による身勝手な政治を批判し、市民が政治に参加する権利を持つべきだと主張しました。この思想は、アメリカ独立戦争やフランス革命など、大きな社会の変化を生み出すことになります。みんなが自由に意見を言い合える民主的な社会は、カフェがつくり出したとも言えるのです。
新聞や雑誌、証券会社、銀行、保険会社、小説、政党なども、コーヒーハウスから生まれたと言われています。
「缶詰」の誕生が戦争の長期化をもたらした
現代の私たちの生活を豊かにしているもののひとつに、食料保存技術があります。そのひとつが缶詰。実は缶詰は、戦争がきっかけで生まれました。
戦争では大勢の兵士の食料が必要です。干し肉などの保存食はありましたが、野菜や果物を食べないと、ビタミンCの不足で壊血病という病気になり、ひどい時には死に至ることもあります。