18世紀末のフランスでは革命が起き、多くの国との戦争が始まりました。この混乱の中で、軍人として才能を発揮したのがナポレオンです。ナポレオンの提案で、フランス政府は多額の賞金をかけ、食料の保存法を募集しました。
フランス政府の懸賞を知った菓子職人のニコラ・アペールは、その後10年にわたって実験を繰り返し、新技術の開発に成功しました。アペールは調理した食べ物をびんに入れ、沸騰した湯で加熱しました。そしてびんの中の空気を抜き、コルク栓とろうで密封しました。こうすれば、食べ物が腐る原因となる微生物がいなくなるのです。当時はまだ、微生物のことは知られていません。しかし、アペールは食料やワインの保存について経験的に知っていたおかげで、賞金を得ることができました。
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しかし、アペールの瓶詰は、長期間の輸送で割れてしまうという欠点もありました。そこで、イギリスのピーター・デュランドが、ブリキの缶につめるという方法を考案し、缶詰が誕生しました。その後、缶詰は軍用食として定着。とても便利でしたが、戦争の長期化と大規模化を引き起こし、犠牲も大きくなっていきました。2度の世界大戦でも大量に生産されました。
もちろん、缶詰は一般にも普及し、家庭でも豊かな食生活を楽しめるようになったことは言うまでもありません。
(構成 生活・文化編集部 塩澤 巧)
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