トランプ政権下では、ジェンダー・ダイバーシティーに関する政策や姿勢が議論の的となりました。早速、大統領令でも性別は男女の2つしか認めないなど攻めた動きをしています。さらには、上場企業の多くが「DEI」(多様性・公平性・包摂性)方針を撤回するなど、ジェンダー・ダイバーシティーへの影響が危惧されています。
でも、私は楽観的です。というのも、アメリカでは不法移民排除で人手不足が懸念されています。誰に働いてもらうべきか? 実は女性の就業率がフランスやイギリスなどと比べてさほど高くないアメリカにおいて、労働力としての女性のフォーカスが起きると思うからです。日本も同様で、女性に働いてもらうしかないという状況で、一気に逆行することは考えにくいです。
国や社会からの圧力的なもの
そして、私自身は少し安心しています。今までの女性活躍やジェンダー・ダイバーシティーは、あらゆる人が差別なく就労の機会を!というスローガンでした。しかし、この風潮は、女性は子どもを産め、仕事もしろ、家事もしろ、もう配偶者控除なんて認めないという、国や社会からの圧力的なものを内包しているように感じたからです。多様性というのに、専業主婦は認めない的な風潮にもうんざりしていました。配偶者控除すら認めない声がある世知辛い世の中になった日本に対して、アメリカの動きがどう影響するのか注目しています。
(注1)Help for the Heartland? The Employment and Electoral Effects of the Trump Tariffs in the United States David Autor, Anne Beck, David Dorn & Gordon H. Hanson https://www.nber.org/papers/w32082