運用ノウハウが重要
全世界株式の投資信託には世界47カ国の株式約2600銘柄(S&P500は米国株のみ約500銘柄)が入っている。投資関連の税金が安くない国も多い。米国株だけのS&P500より全世界株式のほうが、運用コストを抑えつつ正確に運用することの難易度が高い。
その点、楽天・プラスと同じ運用1期目の野村(はじめてのNISA・全世界株式)はさすが。総経費率内その他コスト、売買手数料、税金、すべて最安に抑えた。野村アセットマネジメントCXソリューション部長の高田淳さんは、「実際は運用規模の大きな複数のファンドと一緒に効率的に運用していることも大きいですが」と前置きしつつ努力を語った。
「総経費率内その他コストが安いのは、売買の都度1銘柄ごとに発生する費用が抑えられていることが一つの要因です。先物も活用して余計な売買をせず、効率性を高めました。売買手数料に関しても、たとえば対象国によりコストの安いブローカーを使い分ける、一度にまとまった金額を取引することでブローカーに手数料の引き下げを交渉するなどの工夫をしています」
野村アセットは公的年金や機関投資家向けの投資顧問業務、ETFなど、長期インデックス運用の実績とノウハウを持つ。
オルカンの正確性は
コスト抑制や運用の技術では三菱UFJアセットも負けない。インデックス投資信託はコストだけでなく、いかに指数と同じ動きをさせるかの実力を問われるが、運用資料を見るとオルカンの正確性は群を抜いていた。
それにしても、なぜオルカンにここまで人気が集中するのか。新NISAつみたて投資枠の「全世界株式」関連投資信託は20本もあるのに(24年10月24日現在、金融庁)。オルカンの保有者がネット証券で一番多い(本誌調べ)SBI証券に聞くと、ニッチな回答があった。
「『オルカン』という覚えやすいネーミングも選ばれる理由の一つではないでしょうか。商標登録されているため他社は『オルカン』という言葉を使えません。『オルカンが欲しい』というお客さまの指名買いにつながっている気がします」(経営企画部の粟津優香さん)