AERA 2025年2月3日号より

 楽天・プラス・オールカントリー株式も23年10月27日の設定時は0.05775%だったが、同年12月1日に0.0561%に引き下げた。野村のはじめてのNISA・全世界株式は最初から0.05775%。

 信託報酬条件が揃わないのに同列で比較すると不利な項目もあるが、本誌は運用報告書からこれら3本の「本当のコスト」を独自計算した。

※なお今期の三菱の決算日数は366日、野村は330日、楽天は264日(後ろ二つは初回変則決算)。公平を期すため野村と楽天は運用報告書記載の数字をすべて年率換算して算出。

コスト最安は野村

 詳細を表にまとめたので見てほしい。オルカンの総経費率(信託報酬+その他コスト)は0.10599%。はじめてのNISA・全世界株式は0.0699%。楽天・プラス・オールカントリー株式は0.0932%。総経費率に売買手数料と税金も乗せた「本当のコスト」はオルカンが0.13099%。はじめてのNISA・全世界株式は0.0821%。楽天・プラス・オールカントリー株式は0.2055%。全世界株式のインデックス投資信託の低コスト代表3本、今期の最安ははじめてのNISA・全世界株式だ。

 オルカンが期初から0.05775%ならはじめてのNISAといい勝負になったが、こればかりは仕方ない。楽天・プラス・オールカントリー株式の目論見書に載っている信託報酬は0.0561%だが実際はトータル0.2055%と3本の中では高めの結果。楽天は1期目ならではの費用がかさんだと思われ、来期以降は改善しそう。

 オルカンは楽天・プラス・オールカントリー株式より安かったので、0.0561%に引き下げることはしなかった。オルカンよりはじめてのNISA・全世界株式のほうが安かったが、はじめてのNISAの信託報酬は0.05775%。オルカンも0.05775%。業界最安水準であることに変わりはなく「オルカン、今は引き下げしません」となったわけだ。なおオルカンは純資産総額が上がるほど信託報酬が下がる仕組みである。24年12月17日現在の純資産総額5兆円で計算すると0.05756%で、やはり最安。

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