財産分与は、夫婦が婚姻期間中に築いた財産を公平に分ける制度。ただ、第1回で書いたように、配偶者に巧妙に財産を隠されてしまったら公平に分けることは難しくなる。一般的に、財産分与は離婚と同時に取り決めるが、離婚したときから2年以内(改正民法により「5年以内」に延長<2026年5月までに施行>)に家庭裁判所に調停や審判を申し立てたり、当事者間で協議したりして請求できる。納得のいかない財産分与だった場合などは、離婚した後の相手の行動などを把握しておくといいという。

「たとえば、元夫関係の人脈をキープしておいて、その人脈の情報を頼りに元夫の行動や経済状況の情報を得るというのも手です」

数年間は注意が必要

 離婚した後、こんな注意点もあるという。

「こんな事例もあります。協議離婚をしたのちすぐに再婚をしたC男さん。すると元妻のD子さんは『実は婚姻期間中にDVを受けていた。DVの慰謝料も財産分与ももらってなく離婚は強要されたもの』などと明らかに嫌がらせの内容をSNSに書き込み始めた。会社にまで嫌がらせは続き、とうとう告訴にまで発展しました。慰謝料は離婚成立から原則3年以内、現在、財産分与は2年以内という時効があります。この期間内に再婚をすると、相手が嫉妬から嫌がらせをしてくるというケースもあるということです。実は、このD子さんが浮気したことで夫婦は離婚し、親権はC男さんにとられていました。C男さんの再婚相手は離婚後に出会った人のようです。それなのに、『すぐ再婚するなんて、元夫は婚姻期間中からその女と浮気していたに違いない』と妄想で責められたそうです。離婚した後の数年間は注意が必要ということかもしれません」

(AERA dot.編集部・大崎百紀)

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