「聖人の自虐ネタ」はわかりづらい

 元「週刊SPA!」副編集長で芸能デスクの田辺健二氏は、やす子の今後を次のように分析する。

「フワちゃんによる不適切投稿の直後に24時間テレビのチャリティーマラソンがあり、台風直撃のなか黙々と走り続けるという奇跡のような展開で“悲劇のヒロイン”になり、一躍『聖人化』した感があります。上がりきった好感度を自分でネタにすることも多いのですが、聖人の自虐ネタというのは正直わかりづらく、やす子さんが自意識過剰にも思われかねない。芸人特有の気恥ずかしさから自虐に走ってしまうのは理解できますが、せっかく唯一無二のポジションを勝ち得たわけですから、聖人の道を突き詰めたほうが新たな芸人像の出現につながる気もします。聖人キャラをブラッシュアップさせた先にどんな新しい笑いがあるのか、今のやす子さんならそんな未踏の領域にも踏み込めるのではないでしょうか」

 芸人という職業ゆえ、過剰な“聖人化”は足かせにもなるだろう。だが、そのイメージに縛られることなく、マイペースに芸を磨き、長く活躍を続けてほしいものだ。

(高梨歩)

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼