円安が進めば、日本に輸入する物価の上昇を通じて家計の負担が増す。特に食料、エネルギー、衣類など輸入に頼っている品目の価格は高騰する。しかし、実質賃金は上がらないので、消費者は物価高にさらに苦しむことになる。最も打撃を受けるのは所得の低い人たちだ。熊野さんは言う。
「特に世帯の4割近くを占める高齢者へのダメージが大きく、経済格差が広がります」
輸入価格を引き下げるには過度な円安を阻止すべきだが、日本は国力が衰退しているので容易ではない。手元でできる物価高対策は節約、資産運用、副業くらい。だが、節電などの節約はもはや限界で、資産運用はリスクが伴う。副業は気力・体力が必要で、誰もができるわけではない。事態を好転させるには「賃上げが必要」と熊野さん。
「石破政権がやるべきは、企業の競争力を高め潜在成長率を伸ばす政策。そして、企業は物価高に負けない賃上げを実現することが重要です」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2025年1月27日号より抜粋