日本一の自動車輸出港・名古屋港にあるトヨタ自動車の積み出し基地=2019年9月20日
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「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ氏の返り咲きは、日本や、私たちの暮らしにどのような影響を与えるのか。AERA 2025年1月27日号より。

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 トランプ時代の再到来に、世界中が身構え、注視する。

「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げるドナルド・トランプ氏は、自国を脅かす存在は制裁や圧力で排除してきた。中でも、大統領就任後にまず実行するといわれているのが関税の引き上げだ。第1次政権時代から、関税を武器に相手国に要求を迫った。今回も中国に60%、その他の国々には10~20%など、一律に高い関税を課すと公言する。

 第一生命経済研究所・首席エコノミストの野英生さんは、「関税率の引き上げは、まず米国の物価上昇要因になる」と指摘する。

「米国の貿易取引量は下押しされ、輸入品の価格は上昇して、米国の消費者は割高の輸入品を買わなくてはいけなくなり、インフレに向かうでしょう」

自動車メーカーに打撃

 関税の引き上げは、日本にも牙をむく。

 日本から米国への主要な輸出品目の一つ、自動車。日本自動車工業会によると、2023年の日本から米国への自動車輸出は約149万台で、世界全体(約442万台)の約34%を占めた。現在、米国が日本から輸入する乗用車に課す関税率(ピックアップトラックを除く)は2.5%。これが10~20%に引き上げられれば、日本の自動車メーカーが受けるダメージは大きく、日本から米国生産への移管など生産体制の見直しを迫られる恐れがある。

 日本国内への影響はどうか。熊野さんは、「円安が進む」と見る。

「米国のインフレ圧力を背景に、米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は、25年は4回実施するとしていた利下げを年2回しか実行しないというシナリオを提示しました。一方で日銀は、金利の引き上げを見送りました。これにより、円安へと向かう可能性があります。25年前半に1ドル=160~165円、年後半はそれ以上の円安もあり得ます」

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日本に輸入する物価の上昇を通じて家計の負担が増す