サッカー日本代表戦の地上波が激減したことと同様の問題点を感じる。スポーツ中継は五輪や大谷翔平ドジャース)など、一部コンテンツを除けば視聴率が取れない。地上波テレビ局はスポンサー収入で成り立っている。バラエティやニュースなどのスポンサーが集まる番組を優先するのは当然」(大手広告代理店関係者)

 近年、スポーツ中継の軸足はDAZNやABEMAなどのネット配信に移っている。「スポーツ中継を見たい人」が支払う視聴料で成り立っており、スポンサーへの忖度も必要ない。スポーツに特化したコンテンツ制作を行っているため品質に対する評価も高い。

「テレビ地上波でのスポーツ中継は一部を除きオワコン化している。今回、改めてわかったのは無料配信動画サービス『TVer』の可能性の大きさ。スポーツ中継は配信と『TVer』に完全シフトするのではないか」(大手広告代理店関係者)

 今回の決勝戦では日本テレビの中継が終了した後、『TVer』にアクセスが殺到。システムエラーでアクセスできず視聴できない人が大量に発生する状況となったが、「最後まで放送できる環境」という意味では地上波とは違う強みはある。

「『TVer』は日本テレビのおかげで貴重な経験ができた。今後はこのような状況に陥らないように対応を取るはず。そうなるとスポーツ中継のみならず、他ジャンル番組も『TVer』で視聴する人が増える可能性も高まる」(在京テレビ局スポーツ担当者)

 武田氏は「決勝を10年以上解説してきた自分の経験から言うと、スケジュールや延長などもう一度、大会全体の方式を考える時期かもしれない」(同上・東スポWEB)と提案しているが、地上波のスポーツ中継には“限界”がきているように感じる部分もある。

「今後は野球に『タイブレーク制』が導入される可能性もあるが、地上波だと今回のように途中で打ち切りになることも考えられる。極端な話、(試合の最後まで放送できないのであれば)スポーツの地上波中継の存在価値がなくなると言えるのではないか」(大手広告代理店関係者)

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スポーツ中継がTVで生き残る道は…