「今後のメジャー挑戦は球団、選手の両者にとってビジネス的なメリットが重要となる。各球団は多くの譲渡金を手に入れたいのでポスティングでの移籍に対しては寛容になっていくのが予想される」(MLBアジア地区担当スカウト)

 現状の「25歳ルール」ではメジャー球団は25歳未満またはプロ6年目未満の日本人選手とはマイナー契約しか結べず譲渡金が低くなってしまうが、“しかるべきタイミング”でポスティングで移籍となれば、球団に入るお金も大きくなる。昨オフにドジャースに移籍した山本由伸は12年総額3億2500万ドル(約518億円)の契約を結び、前所属のオリックスには譲渡金として5060万ドル(約80億円)が支払われた。

 もちろん、所属球団のチーム状況を考えてポスティングが許可されない場合もあるだろうが、これからは大きな契約を見込めるタイミングでゴーサインが増えていく可能性は高いはず。巨人の岡本、戸郷もチームの成績、そして個人的に数字を上げることができれば、このオフがタイミングとしては“最適”との声も少なくない。特に戸郷は今年の4月で25歳。若くから安定した結果を残しているということもありポスティングが許可されれば、相当な高額契約が提示されるのは間違いなさそう。球団としても戦力的に流出は痛いが、金銭面で得るものも多いはずだ。

「巨人はリーグ優勝したものの日本一になれなかった。15勝(3敗)を挙げた菅野智之がオリオールズ移籍したことで、阿部慎之助監督も2人の残留に全力を注いだ。岡本と戸郷は球団に気を使った部分もあったはず。今季、日本一となり胸を張ってメジャー挑戦してもらいたいと思う」(巨人OB)

 そして、高橋宏斗中日)、山下舜平太(オリックス)、森下暢仁(広島)など、既に米球界から熱視線を送られる選手も多い。彼らも早いタイミングでのメジャー挑戦を望む可能性もあるが、懸念もある。

「佐々木のように(マイナー契約しか結べないタイミングであっても)1年でも早く渡米したいと望む可能性もある。25歳ルール適用以前の移籍を禁ずる旨を契約に入れ込むなど、しっかりと対策を取らないといけない。佐々木のケースは褒められたものではないので、同様のことが起こらないようにすべき」(中日OB)

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「最高の投資先」となった日本人選手