ホンダよりもホンハイの方がよかった?
この危機から脱するために各社はさまざまな連携を行っているが、そのほとんどは、中国の先進的EVメーカーとの連携か、自動車以外のIT企業との連携だ。日産とホンダというような既存自動車メーカーの負け組連合を模索する大手メーカーはない。
その意味でも日産・ホンダ連合はかなりピントハズレになっている可能性が高い。日産はホンダよりもホンハイに救済してもらった方が、まだ再生の可能性は高かったかもしれない。
世界では、EV「製造」では、BYDとテスラ2強の競争に絞られてきた。
しかし、EVと自動運転とSDVを統合して管理運用するソフトウェアでは、中国市場で、テスラとそれを追うファーウェイ、少し遅れて携帯大手からEVにも参入したシャオミ(小米)の争いが激しくなっており、米国など西側市場では、傘下に最先端の自動運転技術を開発する米ウェイモ社を持つ米アルファベット社(グーグルの親会社)の勢力が急速に伸長しつつある。中国では、多くのメーカーがファーウェイのソフトウェアで新車を作り始めた。トヨタの新車もその一つと見ることもできる。一時代前にパソコン市場でインテルのCPUが席巻し、「インテル・インサイド」という言葉が流行ったが、中国では「ファーウェイ・インサイド」のロゴがどんどん普及しそうだ。
前述の24年9月17日配信の本コラムでも述べたとおり、今後の自動車市場での競争は、「電気」で「自動運転」で走ること以外に、その車に乗っていることで何が可能になるのか、さらには、自動車を含めたあらゆるIT機器(特にスマホや家電)を繋げた生活圏やその外の世界とを結んで何ができるのか、そして究極的には、それらを通じて、どんなライフスタイルが実現できるのかという競争に入った。
日本の自動車メーカーは、1周どころか2周、3周遅れている。
トヨタでさえ、単独での生き残りは困難。
それが現在の自動車市場の構造変化のスケールの大きさを物語っている。
日産とホンダの経営統合など、そうした大きな流れの中では、ほとんど無視できる泡沫に過ぎない。それが成功するか失敗するかという問いを立てていること自体が滑稽でしかないのかもしれない。