年をとるとともに、体にも変化が現れる。脂肪がつきやすくなる、ぎっくり腰になる、肌が乾燥しやすくなる。40代後半を迎えた著者は、そうした自身の「容れもの」の変化を、加齢のマイナス面だけでなく、むしろ好奇心を軸として積極的に探っていく。
 たとえば、視力が低下して眼鏡を作った際、周りの人や物がはっきり見えるのに驚いたり、やがて訪れる老眼にちょっとした期待を覚えたり。また食事に関する興味が増大し、自炊の際に一緒に暮らす家族の健康に配慮するようになったり。
 老いはネガティブなものと認識されがちだが、著者は年輪を確実に刻んでいく身体と、その速さに追いつかない意識とのギャップに自然な笑いを見いだしている。だから、年をとることが微笑ましく、読んでいるこちらも楽しみになる一冊だ。

週刊朝日 2016年9月9日号

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