私はそうではない、と考えている。

 たとえば『ニューヨーカー』というアメリカの週刊誌は2014年にデジタル有料版を始めている。『ニューヨーカー』は読みごたえのあるノンフィクションや村上春樹などのリテラリーなものも含むフィクション、ポピュラーサイエンスと呼ばれる科学読物や詩まで掲載されている雑誌だが、この有料電子版は成功している。

 ダイヤモンド・プレミアムも、会社四季報オンラインも『ニューヨーカー』電子版も共通しているのは、そこでしか読めないものに特化しているということだ。

 たとえば、ダイヤモンド・プレミアムで有料会員になると、『自動車・サプライヤーSOS』というかつて日本の自動車の強みだった「系列」に切り込む特集が読める。これは初出の時には、16本の記事をたたみかけるように数日おきに出していた。この波状攻撃に、まずこの業界の関係者が会員になる。『セブンDX敗戦』(全15本)では流通業や小売業の関係者が有料会員になっていったのだという。

 2025年4月からの紙の週刊ダイヤモンドは、書店売り用の軟派の特集はやめて、こうしたダイヤモンド・プレミアムで展開された業界深掘り型の硬派の特集記事をまとめたものが掲載されていく予定だという。

 さて、実は、産業・企業以外に、デジタルで有料読者を獲得できるコンテンツに「教育」がある。ダイヤモンド・プレミアムでも中学受験の深掘りの特集などでは、読者を獲得しているという。その意味で言うと、大学合格ランキングという週刊朝日時代からのキラーコンテンツを、今はAERA dot.でただで見せてしまっているAERAは、非常にもったいないと言える。

 ビジネスパーソンがオフで一番関心があるのは、なんと言っても子供の教育だ。ここならばお金を出しても惜しくないと思っている。資格、将来設計を含む広い「教育」の分野に、サブスクが成立する市場がある。これは地方紙にも応用ができる練習問題だ。

AERA 2025年1月13日号

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