「声を出すことが大事です」
と町さん。ソーシャルワーク(相談援助)の第一歩は、困っている人が「困っている」「助けて」と言うことからスタートする。その「SOS」を聞いて初めて、解決に向け動くことができる。声を上げなければ誰にも気づかれず助けてもらえない、と。
「今はSNSもあります。声を上げれば、必ず誰かに繋がります」
そして「泣くこと」も受援力だと話す。
「私は母の介護の時は涙を封印していました。母の病室に入る前まで泣いていたのに、直前にファンデーションを塗り直して『お母さん元気!』って、無理に笑ってました」
それはもしかすると、母の泣くタイミングも奪ってきたのではないかと振り返る。
「弱さを人に見せるのは、恥ずかしく難しいことでもあります。でも、初めから強い人間なんていません」
ただ、家族には弱音を吐けないこともあるので、友だちでもいいので弱音を吐ける人を一人でも見つけてほしい。そして、そういう一人になってほしいと話す。
「社会を変えようなど大きなことは思わなくていいです。自分の周り半径1メートルくらいにいる人の、幸せのために生きてほしい」
元祖ヤングケアラーからのメッセージが、しみる。
(編集部・野村昌二)
※AERA 2024年12月30日-2025年1月6日合併号