モデル撮影の風景。xiangtaoさんは右手をシャッターボタンから離さず左手だけでポーズ指示を行うときもあり、かなりスピーディー
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書店や通信教育の会社が買ってくれることを期待して、「初夏の読書」のイメージで撮影した

 アマチュアが撮影した写真を有料配信するサービス、ストックフォトが話題だ。なかでも、急速に売り上げを伸ばしているPIXTA(ピクスタ)という会社では、「売れる写真」の取り方を指南するセミナーを開催している。「売れる写真」をどのように撮影したらいいのか。『アサヒカメラ 6月号』で、記者が体験してみた。

■必要なのは的確なポーズの指示だけ

 ピクスタではクリエイターを支援するため、写真の撮り方などを教えるセミナーを多く開いている。そこで実際にモデル撮影を行う人物撮影セミナーに参加してみた。講師はピクスタのトップクリエイターのひとりであるxiangtao(シャンタオ)さんだ。

 このセミナーはまずxiangtaoさん流の撮影術とレタッチのやり方を学び、そのあとひとりずつモデルを撮影していく。受講者は10人で、山形、栃木からの参加者もいた。

 まず撮影術について、xiangtaoさんはのっけから、

「芸術写真ではなくて、売れる写真の撮り方を伝授します」

 と飛ばしていく。

「同じテーマでもバリエーションを変えてカットを増やす工夫をしましょう。たとえばモデルの体の向きを正面、斜め、横にしたり、口も開いたり閉じたりして違うパターンを作ることができます」

「たとえば迷った顔と口を開けて『わかった!』という顔を撮る。すると小売業の方が2枚セットで買ってくれます」

「趣味の写真の世界ではモデルとコミュニケーションといいますが、時間がもったいない。必要なのは的確なポーズの指示だけです」

「コピースペースと切り抜きがしやすいように、画面の上、左右にスペースを取るように」

「モデルが携帯電話を見ているシーンなら、動画を見ている雰囲気を出すため携帯を横持ちにする。縦と合わせて2パターン撮れます」

 マシンガントークに「すごいですね」と受講生が声をかけると、xiangtaoさん、

「だから稼いでいるんですよ」

「おおう」と一斉に声が漏れた。

 レタッチは頬にかかった髪の毛1本でも「こんなんあったら買ってもらえない」と消す。黄ばんだ歯も1本ずつ白くしていく。xiangtaoさんは顔のほくろも取り除くそうだ。

「でもあまり時間をかけすぎてもよくない。本当によい写真が欲しければ、お客さんはプロから買いますから。割り切りが必要です」

 まずアサカメでは紹介されない内容に私も目を白黒だ。

 モデル撮影で撮った写真はピクスタで販売することができる。セミナーの受講料は8千円だが、かなりお得に感じた。(取材・文/フリーライター・神田憲行)

※『アサヒカメラ 6月号』より

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