あいさつする市川團十郎さん(中央)、ぼたんさん(右)、新之助さん=2023年11月、京都市

 このときのやりとりについてIさんはこう話した。

「『横に聞いて』という言い方もどうかなと思いましたが、長女(麗禾)、長男(勸玄)と会見するイメージが強かったので。本人は一人での会見も多くやっているという思いがあって、不愉快だったのでしょう」

  團十郎さんはこのときの会見で、女性リポーターからの子どもに関する質問にはよく答えていた。女性リポーターが團十郎さんに「いい家族旅行ができたんですね?」と質問すると、團十郎さんは、

「マレーシアとバリへ子どもたちと行って来ました。子どもたちと3人で自然の豊かなところで時間を過ごし、父が言った『休みを大事にしろ』ということを改めて実感した2週間くらいでしたね」

   さらに続けて、女性リポーターから長女の麗禾さんが今春、小学校を卒業したことを質問されると、「泣いちゃいましたね」と答え、子煩悩ぶりを見せた。

リポーターへのフォローも

「團菊祭」では、團十郎さんは昼の部「極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)」で、俠客の幡随院長兵衛の役を、夜の部「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」では、お家乗っ取りを企む大悪人の仁木弾正(にっきだんじょう)を演じる。

 幡随院長兵衛は、父から教わった最後の役といい、團十郎さんは、

「父が人工呼吸器をつけてテレビ電話で話したのが最後でした」

 と明かし、

「幡随院長兵衛への思いを、手紙としてつづってくれた。ほとんど褒めることのない人でしたが、珍しく、私が演じた長兵衛を『悪くないんじゃないのか』と話してくれた」

 とほろりとするエピソードも披露した。

 Iさんは團十郎さんへの質問で、

「団菊祭のなかで、悪役やるじゃないですか。ご自分の持ち……」

 と言葉に詰まり、言いよどんでいると、團十郎さんは、

「大丈夫ですか? 大丈夫ですか?」

 と言いながら「敵役、的なね」とフォローを入れた。

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「大丈夫ですか、大丈夫ですか、大丈夫ですか?」