「家を購入する資金を捻出するため、保有していたビットコインを1800万円分売ったんです。この取り引きで約700万円弱の売却益を得たと申告し、所得税と住民税合わせて100万円ほどを納税しました。ところが、今回の調査では売却した暗号資産の取得日と価格が誤っていないか? と追及された。実は、売ったビットコインの“原資”は17年に海外取引所を通じて購入した別の暗号資産だったのですが、海外での取り引きについては黙っておこうと考え、21年前半に買ったビットコインをその年の後半に売ったことにして申告していたんです。そのウソが取引履歴からバレて、1000万円の申告漏れを指摘されてしまいました……」
株やFX(外国為替証拠金取引)で生じた所得には申告分離課税が適用されるため税率は一律20.315%だが、暗号資産は分離課税の対象外であるため、最高税率は55%(所得税+住民税)にもなる。
別の暗号資産を購入したという建付け
申告漏れが発覚した場合には、この本来納めるべき税金に加えて、延滞税や無申告加算税などの追徴課税が課される。申告を誤ると、利益の大半を税金として持って行かれてしまうリスクがあるのだ。
暗号資産の税制は少々複雑だ。株取引と異なり、暗号資産取引では、ビットコインで別の暗号資産を購入するのも一般的。しかし、この場合、現金は入ってこないが、ビットコインを利益確定して別の暗号資産を購入したという建付けになるため、売却益の申告が必要になるのだ。
また、国内暗号資産取引所の多くがビットコインの“預かりサービス”を提供しているが、ここで発生する“金利収入”も申告の対象となる。