「時間を味方につけて、つみたて投資を行いましょう。長期的な目線でつみたてていただきたい」「新NISAは長期投資」と、本誌も何度となく書いてきた。
とはいえ米国の景気後退懸念やAIバブル崩壊の不安もささやかれ、株価は世界的には乱高下しがち。2024年11月の米国大統領選挙も波乱材料となるかもしれない。
いざというときの心構えとして「暴落時はいったいどれぐらい損失額が膨らむ可能性があるのか」を事前に知っておこう。
ここでは週刊「アエラ」2022年8月15-22日号に掲載された、約100年間の米国株チャートを再編集して掲載する(本記事の次のページに図版があります)。
米国株価指数の推移と暴落があった時期、下落率ワースト5を記した壮大な株価の歴史である。
今後、あなたが持っている投資信託が値下がりしたら、このチャートを見返してほしい。どれほど「史上最悪」「世界の終わり」と騒がれていても、約100年の長期で見ると、米国株式はおおむね右肩上がりで推移してきたことがわかる。
これは新NISAで現状、一番人気の全世界株式でも同じことだ。
株価チャートに加え、米国株式と全世界株式の歴代暴落ワースト1〜5位も表に示した(本記事の最後のページにこの図版を載せています)。
ここ20年で最悪の暴落といえば、「100年に1度の危機」といわれた2008年9月のリーマン・ショックを思い出す人が多いだろう。
米国株式のS&P500は2007年6月から2009年2月まで1年8カ月ほど下落基調が続き、下落率はこの試算で60.7%に達した。元の水準に戻るまでに4年9カ月。
リーマン・ショック以上の下落率を記録したのは世界大恐慌である。1929年8月から1932年6月までの2年9カ月で株価は84%も下落。元に戻るまでに13年3カ月を要した。
世界大恐慌、リーマン・ショックに続くワースト3はオイル・ショック(石油ショック)、ワースト4はアジア通貨危機、ワースト5はブラックマンデー(下落率は表参照)。
50〜60%下落の可能性
世界大恐慌の「下落率84%」という数字を見て驚きすぎないでほしい。
この試算をしてくれたイボットソン・アソシエイツ・ジャパンCIOの小松原宰明(ただあき)さんの見解は次のようなものだった。