「eMAXIS Slim」シリーズを運用する三菱UFJアセットマネジメント推進戦略グループマネジャーの野尻広明さんによると、正確な数字はこうだ。
「8月5日の申し込みが計上される8月7日の数字で『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(以下、オルカン)が解約209億円、純流出(当日の売りと買いを差し引きした金額)は77億円。
同『米国株式(S&P500)』は解約326億円、純流出221億円でした」
なるほど、確かに数字だけ聞くと多いと感じる。だが、野尻さんの次のコメントで印象が変わる。
売られていない
「このときのオルカンの前日純資産総額は3兆5338億円で、解約額を『率』で見ると0.59%、純流出は0.22%。
S&P500の前日純資産総額は4兆5593億円で解約率は0.71%、純流出率は0.48%です。解約率は平時より上昇しましたが、すぐ元の水準まで低下しました」
どの数字も、全体の1%以下。これは数学的に見ても「僅少(きんしょう)」であり、ほとんど売られていないと言っていい。野尻さんは言う。
「長期投資を行うことで成功体験をつくることができたお客さまも多くいらっしゃいます。
当社としては、過去の実績なども詳細に情報発信していくことで、長期投資の実現に寄り添えるよう努めます」
取材・文/安住拓哉、中島晶子(AERA編集部)
編集/綾小路麗香、伊藤忍
『AERA Money 2024秋冬号』から抜粋