石動さんによると、そうした町中華と、定食屋やラーメン店は、儲け方が根本的に違うのだという。
「特にランチ時のラーメン屋や定食屋は、追加注文は基本的にないので、すぐに食べて席を空けてくれるお客様が理想です。一方の町中華では、利益率が高いのはドリンク。極端に言えば、だらだら居続けてビールをおかわりしてくれると、客単価が高くなるのです」
“新聞おじさん”は意外や「上客」なのだ。
飲食店が直面する諸問題
「ながら飯」以外にも、飲食店が嘆く行為はある。
大盛りメニューが評判の店では、インスタ映え目的なのか、若者グループが食べきれない量を注文。食べられなくなっても延々と席にい続け、待ちを発生させる。
石動さんの知人の店だが、こうした例は一度や二度ではないそうだ。
意外な話では、強い香水をつけてやってくる客がいて、他の客から食欲がなくなると苦情が続き、「香水禁止」にした店も。
安くておいしい店を守るには
食事のスタイルは基本、個人の自由だ。それでも石動さんはこんなお願いをする。
「飲食店は物価高や人件費高騰にさらされていますが、値上げを簡単にはできません。安くておいしい店を守っていくためには、店が利益を確保できるよう、お客様も協力してあげてほしいと思います」
確かに、下町の安くてうまい大衆酒場などでは、お酒は何杯まで、滞在時間は何分、などとルールを定め、客がルールを守りつつ楽しむことで、ウィンウィンの関係性が成り立っている店がある。
一見だらだらな“新聞おじさん”も、空気を読んでいるのかも。店の努力に想像力を働かせ、守ってあげる「心意気」が、客側に求められているのかもしれない。
(ライター・國府田英之)