中日・木下拓哉

「Cランクなら状況は違った」

 FA権の行使を表明して、驚きの声が上がったのが中日・木下拓哉だ。かつては、「球界を代表する捕手」と期待されていた。強肩強打を武器に、20年にリーグトップの盗塁阻止率.455をマーク。翌21年は規定打席に到達しなかったが、123試合出場で打率.270、11本塁打の好成績を残し、盗塁阻止率.426と攻守で活躍した。22年は自身初の規定打席に到達したが、昨年は故障の影響もあり、89試合。今季は74試合と出場機会が減少し、守備面でも盗塁阻止率.156と低下した。加藤匠馬、宇佐見真吾が先発マスクをかぶる機会が増えたのに加え、今年のドラフト4位で社会人野球・日本生命の即戦力捕手・石伊雄太が指名された。球団からは複数年契約を提示されたことが報じられたが、出場機会を求めてのFA権行使だろう。

 セ・リーグ球団の編成担当は木下について以下のように語る。

「正直、正捕手としては物足りなさが残ります。攻守で能力が高い選手ですが、ムラがある。推定年俸6800万円でBランクであることも、獲得のハードルを上げている。これが人的補償の必要がないCランクなら状況が変わってきます。FA権を取得した選手は、『Cランクなら評価が2割増し、Bランクなら評価が2割下がる』と言われます。阪神の坂本誠志郎が他球団から熱視線を送られているのは、捕手としての能力が高いだけでなく、Cランクであることが大きい。ただ、木下を『2番手捕手』として考えた時に評価が高い球団があるかもしれない。人的補償が必要でも獲得するかどうかは、各球団の戦力事情で変わってきます」

ファンに愛される原口も決断

 そして、阪神の原口文仁もFA権を行使して、阪神ファンを驚かせた。幾多の試練を乗り越え、チームの精神的支柱として存在感は大きい。ファンからも愛されるキャラクターだ。

 12年に椎間板性の腰痛を発症して育成契約となり、3年の月日を経て16年の4月に支配下復帰。107試合出場で打率.299、11本塁打をマークした。19年1月には大腸がんを患ったことを公表。病魔と闘い、グラウンドに戻ってきた。昨年は代打としてリーグ優勝、日本一に貢献。今季は52試合出場で打率.241、2本塁打、9打点だった。DeNAと対戦したCSファーストステージ第2戦では、上茶谷大河から弾丸ライナーで左翼席に飛び込む豪快な一発を叩きこんでいる。

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