【手作り餃子の店 吉春(よしはる)/調布市】

奥から吉春餃子、夏胡瓜と木耳の水餃子(写真は各2人前)。麺点師の資格をもつ姉の千恵子さんが餃子を包み、弟の隆一さんが茹で・焼きを担当している

 角田さんの「行きつけ」2軒目は、中国吉林省出身の吉村千恵子さん・隆一さん姉弟が切り盛りする餃子の店。熟練の技で作り上げる餃子は、皮からすべて手作り。鮮度を保つため、餡を作る直前に粗めにひくという米沢豚とキャベツ、ニラが入った定番餃子から、季節の野菜を使う餃子も好評だ。

 友人に連れて行ってもらって「感動しました」という角田さん。「オーソドックスな餃子も季節の野菜入りもあり、身体の中からきれいになるような餃子です」と話す。食材から作り方まで細部にこだわった餃子には、またすぐにでも食べたくなる魅力が詰まっている。

【馬記 蒙古肉餅(マーキー モウコローピン)/新宿区】

一度煮てから蒸したラムを自家製のチリソースやニラ味噌をつけていただく手抓羊肉(奥)と、蒙古肉餅。肉餅の中の肉は羊と牛から選べる

「満席でも日本語が聞こえてこないときがあります」と角田さんが言うように、「馬記 蒙古肉餅」は世界各国の人々が本場のモンゴル料理目当てに訪れる名店だ。内モンゴル出身の店主夫妻が切り盛りする。

 角田さんが推す「蒙古肉餅」は、羊肉をクミン、コショウ、ショウガなどで味付けし、ネギを加えた餡を生地で挟んだ内モンゴルの家庭料理。シンプルながらあとを引くおいしさだ。「羊肉好きの私にとっては羊祭かと思うくらいの羊メニュウがあってうれしい。店名にもなっている羊の肉餅、ラム串がおいしいです」と角田さん。羊を愛する人は、是非訪ねてほしい。

小説家 角田光代さん/横浜生まれ。1990年『幸福な遊戯』(角川書店)で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。2005年『対岸の彼女』(文藝春秋)で直木賞を受賞。2007年『八日目の蝉』(中央公論新社)で中央公論文芸賞を受賞。ほか著書多数

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