本番が迫る中学入試。中間層の学校の競争が熾烈化する中、志望校を決めるポイントは何か、過去問とどう向き合えばいいのか。中学受験専門カウンセラーの安浪京子先生に聞いた。AERA 2024年11月18日号より。
【図表を見る】「第一志望校を軸にした併願パターンのスケジュール例」はこちら
* * *
中学入試で第1志望に合格する子どもは3割と言われているように、多くの子どもは第2以下の志望校に進学します。ですから併願校という考え方ではなく、受験するすべてが第1志望と思って臨むのが理想です。
近年の傾向として、「何が何でも難関校」というガチ勢が減り「ふわっ」と参入する家庭が増えています。その結果、中堅校の難易度が上がり、熾烈な競争になっています。合格最低点が上がっているので、数年前のイメージで「ここなら受かるだろう」と思っていると痛い目を見ます。模試で合格ラインに届いていても油断せずに、過去問にしっかりあたってください。そして、解いた過去問はやみくもに間違い直しをするのではなく、どうすれば合格ラインに届くか分析し、必要な問題のみ間違い直しをしましょう。何回も同じ間違いを犯す部分は強化する必要があります。受験校の出題傾向が違う場合、第1、第2までならそのままトライしてもいいと思いますが、第3以下は第1、第2志望校に傾向を合わせると対策がしやすくなります。
過去問は入試対策だけのものではありません。ゼロ時間目の授業と言われているように、入試問題には学校のカラーが表れます。子どもと相性のいい過去問だったら、その学校は子どもに合っていると言えるでしょう。
偏差値的に手応えがあり、過去問対策もばっちりなのに、不合格になってしまう原因は心身の疲れかもしれません。まだ小学生なので、メンタルや体力の影響は大きいです。午後入試の拡大もあって、最近は午前・午後と続けて受ける受験生が増えてきましたが、耐えられない子どももいます。我が子の状態をよく観察し、ベストな状態で本番に送り出してあげてください。
(ライター・柿崎明子)
※AERA 2024年11月18日号