ロッテの佐々木朗希
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 ロッテが佐々木朗希のメジャー挑戦を容認し、ポスティングシステムによる手続きを開始することを11月9日に発表した。

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 佐々木は「入団してからこれまで継続的に将来的なMLB挑戦について耳を傾けていただき、今回こうして正式にポスティングを許可していただいた球団には感謝しかありません。マイナー契約から這い上がって世界一の選手になれるよう頑張ります」と球団公式ホームページを通じてコメントを発表した。

 同時に発表された吉井理人監督のメッセージは、現場を預かる指揮官としてエースと期待していた佐々木を失う痛手と、1人の野球人として挑戦を応援する気持ちが入り混じったものだった。

「チームとしてはもちろん、とても痛いです。ただ自分もアメリカでプレーをしたことがあるので気持ちはものすごくわかります。そして若い今、チャレンジしたいという気持ちもわかります。未完成な部分は正直、まだまだありますが、アメリカで自身を磨き、さらにレベルアップすることもできるのではないかとも考えます。2020年、石垣島キャンプのブルペンで初めて目にした彼の投球は私にとって野茂英雄を初めて見た時以来の衝撃でした。それを向こうでぜひ証明して欲しいです。頑張ってください」

 佐々木が「マイナー契約から」と言及したように、佐々木は現時点で23歳のため、「25歳ルール」によりマイナー契約しか結べない。この場合、契約金も各球団の「国際ボーナスプール」内の金額に制限され、この金額がリセットされる来年1月15日以降に契約した場合でも、佐々木の契約金は最大でも750万ドル(約11億4000万円)、ロッテに支払われる譲渡金は最大187万5000ドル(約2億9000万円)となる。

 昨オフに25歳で山本由伸がドジャースにポスティングで移籍した際は、72億円の譲渡金がオリックスに支払われたと報じられている。

「佐々木とロッテが合意して済む問題ではない」

 NPBの関係者は危惧を口にする。

「佐々木がロッテであと2年プレーしてポスティングシステムでメジャーに挑戦すれば50億円以上、活躍次第では山本を超える譲渡金がロッテに入ってきたでしょう。もちろん佐々木が2年間でけがをするリスクはありますし、どのタイミングで米国に行くのがベストかは判断が難しい、ただ、譲渡金だけの問題ではなく、こういった前例を残したことは12球団全体で危機感を共有しなければいけない。佐々木とロッテの双方が合意したからいいという問題ではありません。このままでは佐々木のように25歳を待たずに、メジャー挑戦へ強行突破する選手が出てくる可能性がある」

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同じ23歳でメジャー挑戦した大谷との違いとは