官民癒着の実態を最も的確に表している「黒塗り公文書」
そこからCCCの図書館運営に関する問題にも首を突っ込んだのが、「泥沼」にはまるきっかけ。その後10年近くにわたって、CCCを指定管理者に選定する自治体の決定プロセスについて追いかけることになった。その延長線上にあった都立高校の学校図書館における偽装請負事件は、まさに「民間のノウハウ」がウソ八百で固められたものであったことを、これ以上ないくらい強烈に知らしめてくれた。
公共施設の民間委託において、ありもしない「民間のノウハウ」を信奉した官民癒着の実態を、最も的確に表しているのが、本書で取り上げた「黒塗りの公文書」ではないかと思う。
2015年のツタヤ図書館騒動から、まもなく10年がたとうとしている。もはやどこのメディアもこの問題を取り上げることはない。いつも思うのは、筆者が書くのをやめたその瞬間から、ツタヤ図書館問題は「過去の事件」として忘れ去られるだろうということ。
しかし、CCCが全国の自治体で繰り広げてきたような官民癒着は改まるどころか、日に日に勢いを増していて、ひどくなる一方である。その動きは、決して飽きることなく、どこまでもしつこく記録しておかねばならないことを痛感する今日この頃である。